5年かけて糸で少しずつ誘導していたお隣の家の植物がついにうちの屋上まで届きました。
これは借景の考え方を僕が発展させたもので借景よりももっと借りる手法です。
庭を作るだけでなく近所との信頼関係も作らなければ出来ない難易度の高い技です。
水をあげるかどうか、切るか切らないかはお隣の気持ちに委ねられています。
僕はいつも貨幣にとらわれず「誰が一番大切にできそうか」によって持ち主を決めています。
アトリエにあるほとんどのものは僕の方が大切にできるかもと思って持ち帰ったものばかりです。
お隣の家の伸びすぎた植物が根元から切られた5年前のある日、僕は計画を実行しました。
次はうちの方へ伸びてみないかと垣根の隙間から植物を誘ったのです。
僕が糸でこちらへ誘導しはじめてからはもう根元から切られることもなくなりました。
5年かけた計画は大成功。黄色い花が満開です。
(*借景とは庭園外の景観を庭園の風景に取り込む造園技法のひとつです。そしてその場所の景観や文化を取り込んだアートのことをサイトスペシフィック・アートといいます。)