感覚とは変化や違いに気づく能力のことです。
ですので感覚だけなら動物の方が優れています。
しかし人間は心を持っています。
これが人間だけが芸術を生み出せる理由です。
人間は5感の気づきを心のフィルターで濾過して、人の数だけ違った感じ方をすることができます。
芸術とはその人にしか感じられない感覚を、他の人にも感じられるようにしたものです。
つまり芸術家は「感じる力」と「それを表現する力」、この ”2つの能力” を高めなければなりません。
例えば2km先のシマウマの模様が見えるのは僕だけだとします。
誰にも見えないシマウマの模様を捉えるアンテナの力を高めること。
それが感じる力です。
でも2km先のシマウマの模様が見えたからといってそのままではまだ作品にはなりません。
それをどうやってみんなにも感じてもらえるようにするか。
シマウマの模様を描いたり、みんなと一緒に望遠鏡を覗いたり、見えているシマウマは1つでも方法は様々です。
それが作品制作です。
このようにして出来た作品を鑑賞することでこれまで感じられなかったことが感じられるようになります。
それが芸術の意義であり本当の意味で生活を豊かにするということだと思います。
今回の展示では僕の生活が丸ごと展示されています。
ここにあるものの多くは作品とは呼べませんが、作品と同じように本当の意味で僕の生活を豊かにしてくれているものたちです。
画家になってから今日までずっと考え続けてきたことの答えがここにある気がしています。
また設営では東京スタディオの皆様が親切に僕のイメージを形にしてくれました。
この展示を実現させて頂けたことを心から感謝しています。
「ミテハナソウ展2019 もう一つの夏休み」
2019年8月3日(土)~9月16日(日)