キャンバスの外に描いた世界を今度はキャンバスの中へ入れていく。
絵を描いているという感覚はなく、キャンバスは入口にしか見えない。
体をアトリエに置いて、心だけの状態になってキャンバスへ入る。
キャンバスの外で鍛えた体は、重力10倍の世界から帰ってきた時みたいに自由になっている。
家族が帰ってくると慌ててキャンバスから飛び出て心を体に戻す。
3年ぶりに健康診断へ行ってきた。
診察結果がまるで僕の絵みたいに隅々まで全部がAだった。
「あえて一つアドバイスするとしたら何でしょうか?」
と僕は聞く。
「このままの生活を続けてください。」
とお医者さんは言う。
体に改善点は見当たらない。
アーティストとしての改善点はまだまだある。
今日もキャンバスの中の試合へ向かう。