2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

呼吸

1万円の大きなキャンバスをアトリエに運ぶ。 1万円の服を買うよりも、帽子を買うよりも、食事をするよりも、温泉につかるよりも、1万円で出来ることの何よりも、僕はこの絵が描きたいのだということになる。そこにいつも迷いは無い。 100万円の制作費をかけ…

蛍と葡萄

Dr.フィッシュにつつかれて6/12日から続いた微熱がやっと下がった。 とても長い微熱だったので医者も僕もとても困った。 手品師が葡萄を宙に浮かべる。 透明な糸が見えている。 だから僕は驚けない。本当は驚いてあげたいし驚きたい。 透明な糸を切ってみる…

95羽の小鳥と赤いsofa 2006 27.0cm×27.0cm 🔴

次から次へと舞い降りる 色とりどりの鳥たちを 僕はひたすらキャンバスに描き留める

翼の貯蔵庫(予告)

洞窟の中なのに天井は見えない。 宇宙の終局を思い出すくらいに天井は息をひそめている。 鍾乳石が天に昇り、鍾乳石が天から下がる。 そのふもとにはまたさらに奥へ続く洞窟が口を開けている。 昔ここを支配した藤壺達を毎日休まず打ち寄せる波達がピンク色…

アジサイ

町の至る所にあじさいの花が咲く。僕はガクアジサイの方が好き。 花だけをみて歩くことにする。町中に散乱した文字は意識的に読まない。 病室では元気になった先生が退屈そうに本を読んでいる。 自分が何を話したのか覚えていられないから君が変わりに覚えて…

preserve wings 2006 瓶 油彩 流木 紙 タンポポの綿毛 布

昔から僕は瓶が好きで瓶を集めたがる。 いろいろ入れて瓶の中に宇宙を作る。 小学校の頃のリニヤモーターカーの授業の後、瓶のいろんな箇所に磁石を貼付けて、クリップや磁石をつけた紙の魚がどうにか宙に浮かないかといろいろ試した。でもどうしても一番強…

流星の離陸地点 2006 145.0cm×160.0cm キャンバス 油彩

地平の彼方 夜の結晶たちが宇宙へ飛び立つ

炎のトナカイ 2006 27.5cm×27.5cm キャンバス 油彩 🔴

燃え上がれ 炎のトナカイは 埋もれた存在価値に告ぐ

トンネルの向こうの老人ホーム

製作中の新しい大作もいよいよ最後の仕上げの段階に入ったので、その前にいつもの地下道へ行く。 昔トロッコが走っていた細長いトンネルが5つ続く山の中へと入る。 今日はトンネル内に霧が立ちこめている。引き返したくなるほどの人を寄せ付けない空気。 こ…

世界一の師

とても分厚く、とても重く閉ざされた扉の前で、「この先は家族以外は入れません。」と言われる。 「それは血が繋がっているかどうかという質問ですか?」と僕は訪ねる。 そこに出来た一瞬の沈黙に「僕たちは家族です」と素早く言葉を埋め込む。 白衣を着せら…

翼と観覧車

道に翼が落ちていた。靴がそろえて置いてある様に。 まるで翼を置いてちょっと何処かへ出掛けたかのように。 それがとても欲しくなったけど冷静に考えればそれは鳥の死骸なのでやっぱり辞めた。 でもとても死骸には見えないくらいそれは一対の翼だった。 明…