洞窟の中なのに天井は見えない。
宇宙の終局を思い出すくらいに天井は息をひそめている。
鍾乳石が天に昇り、鍾乳石が天から下がる。
そのふもとにはまたさらに奥へ続く洞窟が口を開けている。
昔ここを支配した藤壺達を毎日休まず打ち寄せる波達がピンク色の砂にした。
翼の貯蔵庫に翼は無い。
でも人々はそこへ行けばそれを手に入れることが出来たし思い出すことが出来た。
または、それを休めることが出来たし、預けることが出来た。
いつからかここは翼の貯蔵庫と呼ばれる様になった。