翼と観覧車

道に翼が落ちていた。靴がそろえて置いてある様に。
まるで翼を置いてちょっと何処かへ出掛けたかのように。
それがとても欲しくなったけど冷静に考えればそれは鳥の死骸なのでやっぱり辞めた。
でもとても死骸には見えないくらいそれは一対の翼だった。

明日はギャラリーにファイルを持って行く日。
この一週間そのファイル作りに全力を注いだ。
そして翼が落ちていた。ありがたく頂くべきだったのかもしれない。

帰りにパン屋へ寄った。店員は3人。男2人女1人。
様子がおかしい。一人は何かを逃がしてしまった後の顔だし、もう一人はまだ何かを探して目がきょろきょろしている。
女の子の動きが固い。僕はすぐにゴキブリの気配を察知して店を出る。
小学校の頃に害虫駆除のポスターを気持ち悪く描きすぎて以来、凄く敏感になってしまった。

家に帰るとポストに差出人不明の封筒が入っていた。
中に手紙はなく、遊園地の招待券が2枚。
意味が分からない。ヒントが何も無い。
ありがたく頂いて遊園地に行くべきなのかもしれない。
宛名はちゃんと僕の名前になっている。
観覧車に乗ろう。

今、僕に必要なのはカレーパンより翼と観覧車なんだと思おう。
よく考えれば、カレーパンより翼と観覧車の方がずっと良い絵が描けそう。



*都合により(はじめに)の文章は日曜日に消去します。記憶の片隅に残しておいてくれるとうれしいです。