空高くくっきりとコラージュされた山々。
大自然の無音の世界にレコーディングの音が溶け始めると、
雪解け水をたっぷり吸った僕の筆の重みは急激に増した。
木々の重なり合った枝の透き間から朝が始まりの合図を送る。
一心不乱に描き時々散歩。
凍った池は石を投げると初めて聞く声で鳴いた。
重い石を投げると氷の裏に空気がクラゲを描く。
見た事ない量の星の下、僕は仰向けになっていつもとの違いについて考える。
そういえば帰国間際の時も僕は同じ事を考えていた。
それが分からなければ、帰った瞬間、僕は今の力を失う。
冷たく凍った地面が背中の皮膚を土に返していく。
「一点の絵に懸ける想いの量」
と僕は思う。