何も入って来ないし何も出て行かない、
ファミレスで思考をまとめる。
帰りの分の酸素が足りないことを僕は知っていた。
それは中間地点を過ぎていることを意味する。
ウェイトレスが水を持ってやってくる。
僕の言葉は この位置からは もはや ほとんど届かない。
このウェイトレスに話したところで分かってもらえる自信は無い。
帰りの分の酸素がもう残ってはいないことを僕は知っている。
目の前にあるのはやらなければならない課題ではなく、
希望に満ちた大冒険であることを確認する。
ウェイトレスが水のおかわりを注ぎにやってくる。
この位置から言葉はもはや届かないけれど、絵は違う。
僕の絵で、このウェイトレスの心臓を動かす自信がある。
酸素の残量を気にするのがもうわずらわしい。
残りの酸素を置いて、ファミレスの席を立つ。