危険を冒して獲物を捕るのを忘れて草を食べていた。
「ベジタリアンですか?」と初対面で尋ねられるほどに。
「肉食獣です。」と答えた僕は鏡の中に草食獣を見る。
森の中でのアーティストトーク。
自然について、植物について。
ただ僕はこの日に確かめることに決めていた。
僕は今日も画家であるのかどうか。
「例えばこの森がなくなるとします。それはとても大変なことです。
例えばピカソが歴史から消えるとします。それも大変なことです。
何が言いたいのかというと、
僕の絵は自然の大切さに気付かせる為にあるわけでなく、同じように重要な意味を持つ。」
これを言って、頷かせることの出来る画家は世の中にそんなにはいないと思う。
だからこそ僕はそれを言う。
限界線上のロシアンルーレット。
引き金が不発に終わる。
僕は今も画家である。
「僕は画家です。」
僕は言う。
その日の夜、クラゲの音楽家とのレースを再開することに決めた。