戦場の産声 For The Babies At War

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戦場の産声 For The Babies At War
制作過程 productionprocess
162.0cn×162.0cm oil on canvas




水槽に合わせて金魚は大きくなる。

最強のライオンはそれ以上強くなりようがなかった。
退屈な日々を昼寝をして過ごした。
最速のチーターはそれ以上速くなりようが無かった。
退屈な毎日を昼寝をして過ごした。

ある日、二人が昼寝に選んだ場所が重なった。

ライオンはチーターに最速をかけて勝負を挑んだ。
ライオンは完敗した。
チーターはライオンに最強をかけて勝負を挑んだ。
チーターは完敗した。

退屈な日々は終わった。

一年後
前より強くなったチーターは前より早くなっていた。
一年後
前より速くなったライオンは前より強くなっていた。

ある日、二人の散歩のコースが重なった。

「僕はこの前、ハヤブサのスピードを超えたよ」とライオンが言った。
「僕はこの前、虎に勝ったよと」チーターは言う。

二人は近隣の村の人々に恐れられ世界中のハンターの注目を集めた。

人間の作った銃の玉のスピードはチーターの何万倍も速く、火薬の力はライオンの何万倍も強かった。

二人は悩んだ。

僕たちも銃を持つしかないのだろうか?

「でも銃の作り方なんて分からないね。」


「じゃあ聞きに行ってみるしかないね。でも撃たれるかもしれない。」

「大丈夫。僕は玉をよけられるよ。」

「それなら大丈夫。僕は玉を止められるからね。」

「それじゃ聞きに行かなくてもよくない?」

「いつまでも止め続ける自信は無いよ」

「僕もいつまでもよけ続ける自信は無い」

2人は最強と最速のプライドを捨ててハンターに尋ねた。

「すみません。銃の仕組みについて伺いたいんですけども。」
ハンター達は驚いた。「ライオンやチーターが話せるなんて知らなかった。」
その日は夜遅くまで、人間の世界の事、動物の世界の事、話が尽きる事は無かった。

「銃を持つ必要なんてどこにも無かったね。」