「どんな困難な日が来ても私は宝物に変える」
I turn any difficulty into a treasure.
2020 73.0cm×91.0cm oil on canvas
今年は一人で集中する時間が取れない日々が続きました。
2月末から一斉休校、春休み、分散登校、夏休み。
その影響でいつものように様々なものが混在する画面とは違い、
子供たちと近所で見つけたチューリップやアジサイを毎日一輪だけ画面に増やす日々が続きました。
それは僕をとても不安な気持ちにさせました。
僕はいつのまにか様々なものを調和させることに喜びを感じていたのです。
でも、この絵が全てチューリップで埋まったとしても構わないのです。
様々なモチーフが登場するのはその日に一番描きたいものが様々だったからです。
本当に描きたいものが毎日チューリップなら毎日チューリップでも全く問題なかったのです。
その時に本当に描きたいものを選んだことに意味はあり、モチーフが何であるかに意味はありません。
モチーフはキャンバスに最高の一滴を注ぐ為の蛇口であり、
その蛇口が日々様々な姿に形を変えているだけなのです。
この作品のおかげで僕はそういう大切なことを思い出しました。
それを示すためにも本当に全部チューリップでも構わないと思った頃、学校は始まりました。
久しぶりにアトリエで一人になると、やっぱり蛇口はあらゆるものに姿を変え始めました。
この作品はフランクフルトでの展示に向けて制作していましたがコロナの影響で中止になりました。
とても残念な気持ちでいっぱいです。
でも展覧会にご招待して頂いていなければこの絵は描けなかったと思います。
展示は中止になりましたがご招待して頂けたことに心から感謝しています。