アート×ビジネス「企業におけるアートの役割とは?」
日本テクノロジーソリューション(株)岡田耕治 社長と対談イベントを行いました。
今回の個展には日本テクノロジーソリューションの皆さまと制作した「色彩が透明を放つ場所」を展示しています。
普段は会社のエントランスに飾ってある作品を借りてきました。
岡田社長は、”個性を発揮しているにも関わらず、周りを引き立て、自分も主役になる状態”「Zoo Project」を掲げた会社づくりを行なっています。
それは「それぞれが本気を出せば、一つになることを目的とせずに一つになれる」僕の作品と重なる部分があります。
僕とアート作品を制作することで会社全体に言葉ではなく感覚として会社の思想を共有する試みをしてくださいました。
この会場でこの作品に一番感動したというお客様もとても多いです。
このワークショップと展覧会を企画したキュレーターの入澤さんが
「会社へ来られた方の絵を見た反応はいかがですか?」
と岡田社長に聞きました。
岡田社長は
「これは描いた人にしか分からないものがある。
これを描いた自分たちと見る人に温度差を感じる。」
と正直に言いました。
それは完全に作者としての感想でした。
僕もいつも作品発表の度にそれを感じています。
そしてついに、ワークショップという方法で、僕と参加者の関係は、描く人と観る人の境界を超えたのだと思いました。
僕の表現したいことと日本テクノロジーソリューションがみんなで表現したかったことが重なっているのを感じました。
会期中に変わるがわる来場してくれる社員の皆さまも、みんな作者のオーラを纏っていました。
「良い思い出になりましたか?」
ともうすぐ産休に入る社員さんに僕は聞いてみました。
「もちろんそうですが、それ以上に仕事に向き合う意識が変わりました。」
その社員さんは言いました。
「実はこのワークショップのスタイルは、僕が子どもが生まれる時に、子どもに僕の絵に落書きをされた時に怒りたくなくて、ありがとうと言いたくて生まれました。いつかこれから生まれるお子さんも一緒に社員さん達の家族もみんなで一緒にまた作品を作りたいですね。」
と僕は言いました。
アーティストはアート自体を目的として制作した方が良い作品になります。
なのでこうしてアーティスト以外がアートを活かしてくれることは本当に励みになり力になります。
この企画を実現してくださったAplusCの入澤さん、日本テクノロジーソリューションの岡田社長、社員の皆様に本当に感謝しています。
いつかまた日本テクノロージーソリューションの皆さまにお会いできる日を楽しみにしております。
この作品は池平徹兵展「すべての景色を好きになる」で展示中です。
たくさんのご来場お待ちしております。
日本テクノロジーソリューションが動画も作ってくださいましたのでぜひご覧ください!お披露目式の様子も映っていました。
僕は出席できませんでしたが今年2月のお披露目式へ送った僕のお手紙も添付します。
拝啓
梅のつぼみもほころびはじめ、
牡蠣が一番美味しい季節になりました。
僕は牡蠣が大好物です。
牡蠣はお料理しなくてもそのままで食べるだけで最高に美味しい生き物です。
より美味しく出来ないのに、牡蠣に余計な調理を加えてはいけません。
でもこんなに最高の牡蠣をお料理させて頂けるチャンスなんて滅多にない。
一生懸命に描かれた皆様の絵を見ながら僕はそういう気持ちになりました。
日本テクノロジーソリューションの皆様と一緒に作品制作ができて本当に幸せでした。
おかげで最高に素晴らしい作品になりました。
一つ一つの絵がどれも全体を輝かせています。
あってもなくても良い絵がひとつもないことを体感して頂けましたら嬉しいです。
お正月から岡田社長の宿題の絵が予想以上に気合が入っていたことから始まり、
それが伝染して社員の皆様の作品も想像以上に素晴らしいものが生まれ、
最後にバトンを受け継いだ僕も無事にこれまでにない記録を出してゴールすることができました。
あれだけ神戸をリサーチしたのに、僕が一番描きたいと思ったのは、日本テクノロジーソリューション本社とその前の道路でした。僕にとって、絵の背景が美しい自然ではなく、普通の道路なのは初めての挑戦です。
皆さんと一緒にこの作品を生み出した大切な場所だからこそ、
ただの道路が輝いて見え、描きたくなるくらい大切に思うことが出来たのだと思います。
この感覚は今後の僕の作品に飛躍的な進化をもたらすことを確信しています。
皆様もこの作品で何か新しい感覚を手に入れることはできましたでしょうか?
皆様全員がこの絵の作者です。
アトリエに来て頂いた村越さん、前西さん、設置に立ち合って下さった吉田さん、齋藤さんと、この絵の前で写真を撮りましたので後で見せてもらってください。
すでに作者のオーラが出ています。
皆様も、自分では気づいていないと思いますが、この絵の前では作者のオーラが出ています。
これからご来客の皆様に、この絵の作者の一人としてそれぞれの言葉でこの絵のお話をしてあげてください。
ご来客の方々も、来た時よりも帰り道の景色が輝いて見えると思います。
こんなお手紙を書けるくらいに素晴らしい作品を生み出せたことを本当に幸せを感じています。
本当にありがとうございました。
末筆ながら書中を持ってお礼申し上げます。
本格的な春の到来が待たれる時期です、くれぐれもご自愛ください。
敬具
2023年2月25日 池平徹兵
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池平徹兵 展「全ての景色を好きになる」
会期:2023年8月17日(木)~27日(日) 水休廊
12:00-19:00 *最終日は16時まで
会場:FLORE Artist Gallery
〒650-0003神戸市中央区山本通 1-7-9 ブーミン北野1F
主催・企画:FLORE・AplusC
協力:Galeria Punto、日本テクノロジーソリューション(株)