白と黒と灰色

新しい作品を楽しみにしてくれている沢山の方々、さらに沢山の方との新しい出会いに感謝します。
ありがとうございました。その期待を創作エネルギーに変え、僕はこれからも頑張ります。どうぞよろしくお願い致します。


3月12日GEISAI

村上隆安藤忠雄も小山登美夫もフランソワピノーも僕の前を素通りしていく。NYの路上にいたあの頃の感覚が蘇る。帰国して1年、いつのまにか、感覚がNYに出発する前の状態に戻っていた。
それは頑張って防げる問題ではなく、こういう経験がそれを目覚めさせる。

まあまあ良いものを作れる人は山ほどいる。それは分かってるのにいつのまにか自分の作品のまあまあ良いものと、凄く良いものの区別がつかなくなっていた。過剰な自信が自分の作ったものはすべて良いと思わせてしまうけどそんなわけが無い。ピカソだって全ての作品がゲルニカと同じくらい凄いわけではないのに。

自分の持つ全エネルギーの集約された1点でなければ世界に通用しない。扉は絶対開かない。

それを忘れて昨日はたぶんまあまあ良いねって思われた。そんなまあまあ良かった昨日の自分が許せない。

1点に持っていく過程で沢山の作品はどうしても必要だけれど、過程であることをちゃんと自覚してないと、知らず知らずのうちにそこがゴールになったりもする。そして本物のゴールが幻となる。



            必要なものは何でもそろうこの国で
            どれだけ作品の完成度を高めることができるだろう。
            今考えなければならないのはこの1つだけ

            何でもある分余計なものも多いこの国で
            どれだけ雑念を振り払うことができるだろう
            今心配しなければならないのはこの1つだけ。



頭の中の灰色を白と黒にちゃんと整理して、もう1度気合いを入れなおして、島根の個展に行ってきます。


              島根県立美術館 3月28~4月2日
              池平徹兵個展  「Blue earth」