水槽ホームステイ {2}

水槽を探しているうちに、
連鎖反応が連鎖反応を呼び最終的に、
天皇陛下の自宅の水槽をお世話する世界的な熱帯魚の研究者アズマさんを紹介された。

天皇陛下は海外の国王から日本にはいない重要な種類の魚をおみやげとしてもらうので、その仕事はとても重大でしかも時にはその魚を預かって繁殖させたりもさせるらしいアズマさんは水槽のプロフェッショナル。

「生き物にもともと値段などありません。値段は仮の価値にすぎない。」
僕の熱帯魚がデパートで250円なことを突っ込まれる前に僕は言う。

普段は一ヶ月10万円のとこを千円で預かってくれることになった。



「かなりハードルの高い3ヶ月間になると思うけど君が250円だからって遠慮しちゃダメだよ。
 その気になれば皇室の魚とだって天然記念物とだって対等にやっていける。自然体で大丈夫。
 自信を持って経験を積んできて欲しい。」

熱帯魚に僕が言ったのか熱帯魚が僕に言ったのかは分からない。

「次に会う日を楽しみにしているよ。」