ユネスコ村

桜をたどって山の中を歩いていると、
立ち入り禁止のロープの向こうにUFOこちらの矢印を見付けた。
ロープには防犯センサー可動の札がついている。

凄く気になるしわくわくするので僕はロープをくぐる。
センサーは可動しない。
前に作品で使ったので僕はわりとセンサーに詳しい。

足下を見るとチープな恐竜の足跡が地面にプリントされて続いている。
広場へ出る。
桜満開なのに誰もいない。

それは潰れたてのテーマパーク 又は 休園日のテーマパークだった。
今日はここでヨガの体操をすることにした。

遠くで暇そうな警備員が一人で巡回している。
こちらには気付いていない。
退屈そうなのでドングリをぶつけてみることにした。

気付かれるように一個、二個、四個、八個と一度に投げる個数を倍にしていく。
遊園地を貸し切っての鬼ごっこが静かに始まった。

お互い大人だし本気なので子どもの頃よりレベルが遥かに高い。
姿を見られないように隠れて逃げながら ドングリ数を増やしていく。
それはたぶん開演しているときよりも楽しかっただろうと思う。
これくらい本気で楽しませていれば潰れたりはしない。

桜が満開なので警備員もそのことに気付く。
僕はそれを見届けてアトリエに戻る。