アンモナイト

はしごに上って壁画を描く
それに疲れると僕はシャガールの天井画を思い浮かべていた
実際の深海的要素は抜け殻にして
実際的ではない僕の中の不変的な深海が顔を出していた

やっぱり大聖堂の中は驚く程水中で僕は心を打たれ
教会の裏庭のベンチに座って地面を見ていた
小石の一つひとつまでもが外国だった 見慣れた地面とは何かが違う

雀が手に持ったパンをつつき16時を知らせる鐘が16回鳴った
教会の壁からは石で出来たいくつもの顔が突き出し
馬に乗った警官が道を誇らしげに歩いて行った

僕は地面を見ていた
一つひとつの小石に順番にピントを合わす
僕は化石を見ていた
僕は驚いて化石を発掘し始めると 実は辺り一面アンモナイトだった

午後の公園は暖かい日射しにつつまれて 
人々は教会に見とれ誰一人地面など気にもとめてない

僕が発掘する間 人々は不思議そうに僕を見ていた
まるで僕にしかアンモナイトは見えていないかのようだった

僕と鳩と雀は地面をつつく
ノートルダム大聖堂の裏庭の地面は化石で出来ている


家の場所  手紙は届かない
13RUE DU CONSERVATOIRE 75009 サントジェーヌ教会 左側面 扉ボタン36B2

これから車でひたすら西へ向かう 海に着いたら南へ向かう
12日までにパリに戻る

手紙送り先
16RUE DU LAVOIR 92240 MALAKOFF ROMAIN BRIANDET TEPPEI

☆のかばん
僕は地球を持ち歩く とっての位置を変えるだけ