[今日の出来事]
6才の友達が新幹線に乗って遠いところから遊びにやって来る。
パリにいたとき2週間くらい僕たちは同居して毎日いろんな物を拾い集めた。
そのほとんどはゴミみたいなよく分からない物ばかりだったけど、
僕たちはそこに美を見つけ出す才能があった。
同時にそのままでは誰にもその良さを分かってもらえないことも知っていた。
それについて僕たちは毎晩、その日に拾った物を自慢し合いながら話し合った。
僕はアーティストとして、茜ちゃんはそれを親に捨てられないために、それらを素晴らしい作品に変化させようとした。
今日は孔雀の羽が生え変わるシーズンなので森に遊びにいく。
途中まで手をつないで歩いていたのだけれど、茜ちゃんは口から変な液体を出しているバッタとかも触るので僕は途中から手をつなぐのをやめた。
到着するとすぐに 孔雀は潔く僕たちに羽を譲ってくれた。
アトリエに戻ってナポレオンのように豪華な羽ペンでドローイングする。
茜ちゃんのなかには失敗も成功もなく、ただひたすら夢中な今が続いていた。
[明日の予定]
「今度公募展を開催しますので、あなたも出品しませんか?」
主催者は言う。
「何の為の公募展ですか?」
僕は尋ねる。
「もちろん新しい才能の発掘を目的としています。」
主催者はそう答える。
「もしそれが本当なら公募展を開く必要はありません。
あなたの探していた物はここにあるような気がします。」
僕は言う。
この方法で大丈夫。
大人になった僕にはどうしても失敗も成功もある。
かろうじてそれを自分で判断する力は失わない。