無題  🔴

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「無題」2011年 33.0cm×33.0cm キャンバス.油彩.金箔


朝六時前に目が覚める。
できればこんな時間に目を覚ましたくはなかった。と僕は思う。
つまり今日1日を僕はあまり始めたいとは思っていない。

それとは反対に、目を開けると同時に壁画制作時に作り上げたベストコンディションの自分であることが僕には分かる。
今日はその必要はない。と僕は自分に言って再び目を閉じる。

目を閉じていてもアーティストとしてのアンテナが抱えきれないくらい沢山の電波を拾う。
これだけ大きく感情が揺さぶられ、ほとんど休まず心も頭も回転しているのだから当然のことだと思う。

僕は僕がこれまでに経験したこともない大きさの悲しみや苦しさの中にいる人にかける言葉を一つも持たない。

僕は言葉を探すのをあきらめて、今と作品とをつなぐただの装置になった。

脳を少し休ませるため僕は停電の闇に浮かぶ星空のことを思う。
何億光年も前に放たれた光のいくつかは、たまたま今日が停電であるために僕に届く。



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10年後。

10年後の10年前、これまで世界規模で起こる問題を自分の問題として捉えることは出来なかった人の多くはついにそれを自分の問題として捉えた。
この10年間で世界の舞台に影響を及ぼすことのできる日本人が急激に増えたのはその為だと僕は思う。

「安全と幸せは必ずしもイコールではありません。僕はそれを知っています。
同時に、安全が幸せを構成する重要な1つの要素になることは言うまでもありません。
排除出来る危険は排除するべきです。」

と僕は言うかもしれない。