2011年の展覧会終わり

僕は描きたい時しか描かない。
同じ色でも塗りたくて塗った時と面倒な作業と感じて塗ったときでは輝きが違う。
画面の隅々まで、描かずにはいられないくらい描きたくなって描いたもので溢れさせた絵が描きたい。
だから描きたくない時は描きたくなるのを待つ。
ただ待つのではなく描きたくなる自分作りに全力を注ぐ。

と僕は言う。


描けない時、調子が良くなるのを待ってはいけない。
もしまた調子を取り戻してももとの自分に戻っただけ。
調子の悪い時こそ逆にさらに描く。その時がチャンスなので、
描けなくても苦しくても、良くない作品が出来たとしても、もの凄く全力で描く。
すると調子を取り戻すどころか、調子の良いときすら突き破って、別人のようにパワーアップできる。

とある画家は言う。

僕たちの間にしばらく険悪な空気が流れる。

考え方が違うだけで、話はかみ合っている。

それから1時間。
この人にそれだけのことを言う資格があるのか、僕はテストした。
つまり明日からその考え方を取り入れるかどうかについて。
僕はいつだってパワーアップするきっかけを求めている。
60才くらいのそのおじさんは珍しく僕のとても厳しいテストの数々に軽々と合格していった。
たとえば今回、歯を治療する為にフランスから一時帰国していて、僕が数年前にフランスで歯が痛くなった時よりもはるかに頑張った経験を持っていることが分かった。


「あなたにはそれを言う資格があると分かりました。
 本当に良いアドバイスをありがとうございました。」
と僕はお礼を言った。


「こうして人は人と出会い少しずつ変化していく。」
とナレーションが言う。

2011年の幕が閉じようとしている。

幕間の景色は毎年違う。



福岡パルコは26日までやっています。