「船はいつもいつも船出を繰り返さなければなりません。
繋いだままの船はすぐに腐り始め鼠だらけになってしまうのです。」
昨年の神在月に島根県立美術館で個展をしていると突然一人の洋服屋さんがやって来て絵に感動したので今後うちのブランドの服ならどれでも好きなものを着てくださいと言う。
僕は少し驚いたけど服をもらうことにした。
突然こんなものをもらえるなんて日本昔話しの傘地蔵みたいだ。
「僕が着たからって服は売れませんよ。」
と僕は言ったのだけれど、
航海中、時々は碇を下ろしてゆっくり星を眺めてほしい。
それだけでいいと言う。
それが碇マークのついた服のブランドコンセプトなのだそうだ。
それから僕は碇のマークのついた服を着て航海し、時々碇を下ろして夜空を眺めた。
突然、僕は気が付いた。
僕はてっきりお地蔵様にプレゼントをもらった側の気持ちでいたけれど、そうではなく僕は笠をかぶせてもらったお地蔵様の方かもしれない。
そういうわけで僕はドローイングを洋服屋さんへ贈った。
「夢見るハトを背負うハト」
オーロラカラーのTシャツに金色の刺繍を施した「夢見るハトを背負うハト」は
池平がパリで熱で寝込んでいる時にベッドの上で描いたドローイング「病気のハトを背負うハト」を新たにTシャツ作品として描き変えたものです。
世界にやさしい人が増えることを願っております。
画家 池平徹兵 /GENTLY CLOTHING
WEBSHOP http://gently-clothing.com/?pid=58065112
「夢見るハトを背負うハト」2013年 Tシャツに刺繍 協力 GENTLY CLOTHING
「病気のハトを背負うハト」2008年 紙にペンでドローイング