アトリエの冒険

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子どもは空き箱一つで世界を冒険できる。

子どもたちにおもちゃを売りたい大人がテレビと組んでじゃまをする。

「大人や先生の言っていることが絶対に正しいとは限らないよ。」
と僕は言う。

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原美術館のオープニングレセプションへ行った祭に、
OFFICE BACTERIAをショップで取り扱ってもらえないか尋ねた。

僕が名刺を渡すと「前にお会いしたことがありませんか?」
と女性は言った。

彼女の顔を見て僕は思い出した。
10年以上前に僕は彼女に会ったことがある。
あの頃の僕は原美術館で個展をしたいとお願いしに行ったのだ。

それがいつの間にか僕は謙虚な大人になって、
個展ではなくショップに作品を置かせてほしいとお願いしている。

本当は個展がしたい。

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関わる人たちが、僕の絵が売れるかどうかより、僕の絵でどう人々をわくわくさせられるか考えてくれた方が僕を遥かにやる気にさせる。

でも利益を出さなければ仕事にできないのでプロフェッショナルは集まらない。

それには、絵を売るよりも、絵を展示して入場料をとった方が利益がでる画家になればいい。

その方が作品もアーティストも強い力を持つようになる。

作品が100万円で入場料が1000円だとしたら、入場者数1000人で作品価格を越える。

しかも作品を売っていないので世界中で何度も展覧会が出来る。

こう考えるとそう遠くは感じない。

その環境を僕に与えれば僕はもっと素晴らしい作品が描けることが分かっている。

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「目覚めよ」と書かれた本を持ってうちに宗教の勧誘の人が来た。

その人は死んでからが本番みたいなことを言い出した。

「あなたこそ目覚めよ」と僕は言った。

僕は今の一瞬一瞬が完全に本番であることを絵を見せて説明した。

今日は一度きりしか来ない。

今日描きたいものが明日も描きたいとは限らない。

どのような今日も決して無駄にはならない。

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僕は絵を描きながらいつも「やったやったやった」と自分に言い聞かせている。

たとえ失敗の予感がしても成功していると思い込めば先の景色が見えて来る。

成功していると思いこまないと先の景色は描けない。


すると娘のこの花が生後8ヶ月で「やったー」という言葉を覚えた。

夜中も夜泣きの代わりに「やったやったやったー」と繰り返し言っている。

まるでこの花にだけ明るい明日がそこまで来ているのが見えているかのように。

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僕は毎日、午前中に絵を描く。

午前8時~12時は世界大会の決勝戦にいるのと同じだと思っている。

12時以降は明日の午前8時に向けてのコンディション作りをする。

明日の8時の僕がさらにやる気を出すように、より良い発表の舞台を作るための企画を進めたり打ち合わせに行ったり、季節を感じたり、OFFICE BACTERIAのデザインをしたり、ドローイングを描いたり、子どもと遊んだり。

あらゆる手を尽くして明日の自分がわくわくするように次々に罠を仕掛けていく。

夜10時で携帯を機内モードにして明日へのタイムマシーンに入る。

やわらかくてあたたかい睡眠が僕を明日へと運ぶ。

目が覚めたらまた世界大会の決勝戦

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目を開けると森の枝々が水滴を湛え、朝の光で桜が咲いたように森全体が輝いている。

今日が始まった。

今日のたったの一つの閃きが未来をがらりと変える。