米子市美術館 世界で一冊の絵本を作ろう 原画展

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米子市美術館で「世界で一冊の絵本を作ろう」原画展を開催します。

会場 米子市美術館
会期 2018年 10月19日(金)~23日(火) 10:00~18:00 入場無料

この絵本は米子市立図書館に集まった88人の人々に全力で絵を描いてもらい、1つの物語で繋いだ作品です。
参加者には初めに僕が描いた5枚のうさぎの絵を見てもらい、そこから広がる物語を自由に想像して描いてもらいました。
約束事は絶対に本気を出して描くこと。
最後に全員の絵を1つの物語で繋げたワークショップ作品です。

まだ読んだことのない人はこちらで読めます!

本展終了後、10月31日ー11月5日「島根県立美術館 池平徹兵 Blue Earth 展」でも展示します。

文芸社からこんな素晴らしい好評も頂きました!


■本作は、鳥取県米子市立図書館に集まった3歳から70歳の88人に、うさぎをテーマに自由に絵を描いてもらい、著者が綴った物語でつなげて絵本としたものだという。
実際には92点の絵があるので、物語のつなぎを考えて著者自身が何点か描いているということだろう。通常の絵本はひとりのイラストレーターが絵を描き、その世界観が統一されているものだが、本作はまったくそうではないことに面白みがあるといえるだろう。88人の多彩な発想とイメージが混然となり、しかし、それがひとつの物語として結実しているのである。
■物語は、僕が家に帰るとうさぎ君がいたというところから始まる。そのうさぎ君は言葉が話せるのだが、「私はうさぎではない」という。うさぎにしか見えないというと、うさぎ君はさまざまに姿を変えてみせる。色が変わったり、数が増えたり、全然うさぎじゃないものになったり、でもそれは「君の見え方が変わっただけ」とうさぎ君はなんだか哲学的なことをいうのである。ものの見え方は常に変化しているのだという。
■そして、うさぎ君は「旅が始まる」と言って、ついてくるよう促すのだが、僕は拒否する。すると毎日現れて、挙句に庭に居座って執拗に旅に誘うのである。そうして、うさぎ君とやりとりしているうちに、僕も気が変わって旅に行くことになるのである。ロケットのある場所まで行き、それに乗って着いたのは、うさぎでお馴染みの月の世界。そこで、僕は神様に引き合わされ、自分の未来は自分で描くことを確信するのである。ところどころめちゃくちゃになりかけるところはあるが、確かなメッセージを備えたファンタジーに上手くまとめたといえるだろう。未来を描くことと絵本を描くことを重ねた趣向も面白い。■しかし、本作はそうした物語もさることながら、絵を見ているだけでも十分に面白い。うさぎを描いてもその造形は様々であるし、ただ1羽を描く人もいれば、複数のうさぎを描く人もいる。うさぎだけでなく、たの動物や人が一緒に描かれることもあるし、明らかにうさぎではない生き物ータコ(?)、トラ、シロクマ、トカゲ、クラゲなどが描かれている作品まである。それらがどこでテーマのうさぎと繋がっているのか、観る側としてはちょっと悩ましいところだが、描いた本人の中ではちゃんと繋がっているのだろう。逞しい想像力と自由奔放な想像力が横溢するところに本作品の魅力があるといえそうだ。
■実に興味深い試みであり、実際に楽しく鑑賞できる作品である。ただ、本作を一般書籍としてまとめるのであれば、絵を提供した88人の許可を得る必要があるだろう。実際に書籍にまとめる際は、巻末に各ページの作者名と年齢を示すのも一案である。もし作者名の公表に差し支えがあるのならば、性別と年齢だけでもいい。また表題にある「作ろう」は「創ろう」としても良いと思われた。

株式会社文芸社


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米子市立図書館でのワークショップの様子


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米子市立図書館でのワークショップの様子



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米子市立図書館でのワークショップの様子