りんごの木

世界中の芸術家がどれだけおいしいりんごを作れるかを競っている。
様々なりんごが並ぶその場所に、僕はりんごの木を差し出す。
そこにりんごは一つもなってない。

でも世界一おいしいりんごは必ずここになる。
葉や幹の色や形、根の深さや太さ。水を吸う音、風に揺れる音。咲いた花の香り、空の青と水の青。



「この青なら私も出せる」あるバレリーナが言う。
僕は体が固まりそうになるほどびっくりする。
素直に受け入れるにはあまりに沢山の失礼な人と話し過ぎていた。


後日バレリーナが僕に見せてくれたものはりんごの実でも、りんごの木でもなく、
存在自体がりんごの木であるバレリーナ自身の姿だった。

僕達はとびっきりおいしいりんごの実を想像させる事が出来る。


11/4(sat) 蒼の日
20:00~
詳しくは活動予定の方に載せましたので、ご覧ください。