小鳥の落下と冬虫夏草について

2羽の小鳥が絡まり合って落ちてくる。
鳥が落ちてくるのは久しぶり。
1羽は地面すれすれで羽を広げ、1羽は地面にぶつかった。

今日は初めて多摩美術大学内の散歩に挑戦。
校内の至る所で何かが制作され展示されていた。
作品の良い悪いではない。
その空気が僕をパリのアーティストマンションへと連れて行ってくれる。

気を失った小鳥を、車にひかれないように道路脇によける。
手で暖めてあげようと思ったけど、
自転車を漕いできた僕の手は冷たく、逆に暖められた。

せっかくなので、生徒にまぎれて授業を受ける。
講義は中沢新一教授の芸術人類学。
デュアリズムから分割と反復、芸術の起源へと話は進む。

小鳥はしばらくなでていると、突然目を覚ます。
びっくりした顔をして、お礼も言わずあわてて飛び立つ。
それで良いと僕は頷く。

教授は僕が感覚でしか理解出来てない幾つかの法則を
分かりやすくホワイトボードに書き示す。
僕もいつの間にか学生に戻りノートを取る。
アシンメトリーとその中に含まれるシンメトリー
そうかもしれないと僕は頷く。


非対称双分性によって僕のアーティストトークももう少し専門的になるだろう。
だけどそれは中沢新一教授が話すべき事であって僕が話すべき事ではない。
だから僕はきっと小鳥が落ちて来た事に着いて話すんだろうなと思う。
小鳥の落下と冬虫夏草について。