RadioSAKAMOTO と Polarbear

飲み込んだサケの骨が胃に刺さっただけなのに、白熊はそれを精神的な胃の痛みだと勘違いした。
そんな白熊だから、止めどなく降り積もる雪になす術も無く埋もれる。
そして今では地上の見えない雪の底で、寒さと重圧に押しつぶされそうになった。

氷と密着した身体の感覚はほとんど0に近づき、いったい何処までが自分の体なのかが分からない。
そう思った瞬間、白熊は雪山だった。
森の木々や小鳥の声、体に積もった雪の結晶の一つ一つまで体の一部分として感じる事が出来る。
何億光年もの時を経て、千年で数センチしか移動しない感覚の中でそれを遅いとも感じなくなった頃、
体の一部に白熊が凍っている事に気付く。

それが過去の自分である事に気付いた瞬間、僕は白熊だった。
だけどかつての白熊ではない。
いったいどれくらいの間、眠っていたのだろう。

眠っている間にRADIO SAKAMOTOで僕の絵が紹介された。
http://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/top.htm

春の雪解け水で顔を洗い、サケとごはんとみそ汁を食べよう。
飲み込んだサケの骨が胃に刺さるくらい今の僕には何も問題ない。
何をも恐れず、何をも見逃さず、外へ出掛ける。