船長と校長

眠りにつくといつのまにか僕は大きな飛行船に乗っている。
レバーを引くと、船は助走をつけ勝手に離陸した。
どう運転すればいいのか全く分からないけど飛行船は目的地に向かって飛び続ける。
フロントガラスから前を覗くと、ハイスピードで雲が迫り、揺れる機体は様々な不安を連想させる。
台風、竜巻、雷、爆発、墜落。
理解を超えた心配事の連続に、僕は全てを放棄して床に横になる。
この不安定な飛行船に乗っている現実を忘れ、何も考えずに眠る事にした。
時々激しく音を立てる船内はあらゆる心配事を思い出させるけど、僕は必死に無視して眠る。
いくら心配したって操縦の仕方なんて分からない訳だし。

違う。と僕はあわてて目を開ける。
気を抜くと不安は睡眠時間にまで攻撃を仕掛けて僕を逃げ出させようとする。
いったい何処へ向かって欲しいというのだろう。
いつだって僕は船長として進路を見極めて来た。
しっかり進路と向き合わないと確実に落ちる。

小学校にサプライズプレゼントを仕掛けた。
喜んでは頂けなかったけれど、そのかわりに厳しく怒られた。
僕は知らなかったけど今回の船長は校長先生であったようだ。
僕はそれに気付かず枠を突き破る。
船長であり続けるためには時々激しい痛みを伴う。

今回はとても痛かったのでせめて子供達にとって「出る杭になって打たれよう」の良い見本になればと思う。

いよいよドローイングの授業。
自分の信じる線を描く事。