マッコウクジラと列車の来ない駅

飛行機が胴体着陸に成功し、マッコウクジラが船を飲み込んだ頃、
僕達は小学校での授業を成功させた。
小説を読み終えたような達成感は3日も続かず、もう次の物語を求めている。

今はもう使われていない地下鉄の駅への入り口を見付けたとgo君から連絡が入る。

駅は違う世界へ続く入り口であり、違う世界からの出口でもある。
もうその駅からは何処へも行けないし、何処からも何もつれて来てはくれない。
だけど僕達はその条件の中でこそ、
何処へでも行く事が出来るし何処へでも連れて行く事が出来る。

地下へと続く薄暗い階段を下りて行く。
大きな音を立てて列車が通過する。

いつのまにか僕達はシンポジウムに参加していた。
シンポジウムというものが何なのかは僕には分からない。
でもとにかく僕達はそれに参加した。
実家の花屋にそういう名前の花が売っていた様な気がする。

シンポジウムの花を一輪持って近くのレストランに入った。
水をあげるといくつかの実をつけた。
僕たちを乗せる列車はきっとああいう駅に止まる。
でも待っててもそこに列車は来ない。

育て方の分からない実を分けて、それぞれの家に帰る。