夜空の研究

何億光年も前の星の瞬きが地球に届く。
届いた現在にはそのような星はもう存在していないのかもしれない。

図書館の本を僕が所定の位置に戻さなかったため、
その本がもう3ヶ月もの間見付けられない。
あいかわらず検索用のパソコンは図書館の所定の位置をしめしている。
何度見てもそこにその本は無い。

湿度が高くて絵の具が全く乾かない。
台風の近づく図書館のソファーでいつものように考え事をする。
そして僕はたぶん大発見をしてしまった。

今見える星の光が何億光年も前のものならば、
光のスピードで地球から遠く離れて地球を見れば、昔の地球の姿が見えると思う。
その方法を使えば太古の地球を自由に観察出来る。
行くことが無理なら巨大な鏡を打ち上げればここから過去の地球を見ることが出来る。


せっかくの大発見だけど僕は画家なのでここまで。
科学が進歩するごとに肉眼で見える星の数が減るし、それなら僕は天体望遠鏡の方を捨てる。

アトリエに戻ると台風がやってきた。
ベランダの植物たちを室内に避難させる。
台風が雲をほとんど吹き飛ばすので明日はたぶん星が沢山見える。