実験

全部の線と色が見えるまで僕は筆を握らなかった。
ことを辞めた。
というふうに決めたりもしない。


新しい器に取り替えた。
アーティストトークで喋ったことは全て 白紙に戻す。

体質にも改良を加える。
養命酒とヨガを体に取り入れた。
上級者向けのプールから、初心者向けのプールに変えた。

多分この話のポイントは、力を入れて力を抜くこと。
それに意識を集中させること。
僕はとても力を入れたので、とても力を抜くことも出来る。

プレゼンの為の作品ファイルを送る。
どこから送って良いのかいつも分からないしむしろ送りたくない。
まず 天皇陛下へ一冊送った。
内側へ向けた光がかなり広い世界を照らした。
(これは僕が3日間も封筒を押し入れに入れたまま悩むほど、かなりの自信とかなりの勇気のいる一歩だ ったので是非他のアーティストの皆様にも試して頂きたい。)


郵便局を出た後のこの緊張感。
その力を抜く為に植物園へ行くと、一人の写真家が待っていた。
それはとても偶然で必然で
最終的に僕たちはバナナの花を植物園から譲ってもらうことになった。


僕は一つの依頼をパーフェクトにやり遂げた。と思う。
7月5日にそれは成功する。

2年以上観察を続けてきたバナナは枯れた。
その花をアトリエにぶら下げる。
「僕は君が元気だった頃を知っている。そして今の姿も素敵だと思う。」
急にバナナを食べたくなってバナナを買いに行く。

たった一つの出来事で、過去の失敗は全て成功に変えることが出来る。
実験でかまわない。