バクテリア

バクテリアについての研究者と感覚が一致した
フランス国家の研究施設I,N,R,Aの中で僕たちはバクテリアの作る小宇宙について考える
まだ何が出来るかは分からない
まだ何が起こるかは分からない
松ぼっくりの開く音があたり一面に鳴り響いていた


換金の為僕は近くの郵便局でトラベラ_ズチェックに沢山サインする
相手の言葉がほとんど聞き取れない
僕はしばらくハトとの物語の中へ現実逃避する


ベランダでハトが鳴いている
フランス語なのでうまく聞き取れない
{実は日本語も話せます}突然ハトが言う
{しかもあなたの大ファンです ずいぶん遠くまで追いかけてきました サインをください}
{ずいぶん遠くまで飛んできましたね 大変だったでしょう}
僕は快くサインする
JALにのってきました ハトは無料です}
ハトは機内から盗んできたJALと書かれたスプ_ンを誇らしげに見せる
{せっかくなので好きなだけここにいたらいい}
僕はスプ_ンにもサインする
{せっかくですが早急に日本に帰らなければなりません
 音楽家のベランダの洗濯機の下に巣を作ります
 早くしないと他のハトに取られてしまうのです
 いつも素敵な音楽が聞ける場所ですから}
{それはちょうど良かった いろいろおめでとうと伝えておいて欲しい}
{もちろん伝えておきます}


ハトが飛び立つ
僕は換金を終えて郵便局をあとにする


芝生の上に仰向けに寝転がる
地球を背負う
僕はバクテリアのように広がり続ける宇宙を見ていた