透明な夏/羽化

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背中が割れる。

まさかの事態に驚いて、その場にしがみついた僕の上に僕は乗っていた。


夜露がウェットな体を伝い、命の終わりと始まりを僕に告げる。

月の温度を体に感じる。

なんて繊細な体なんだろう。と僕は思う。


生まれてはじめて夜が明ける。

空気は何処までも透明で羽を伸ばすと僕をそっと持ち上げてくれた。


(上)「透明な夏」 キャンバス、油彩
(下)「羽化」 紙、糸、フェルト、樹脂