インスピレーションの宅急便

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今こうしている間にも偶然に包まれた世界の中で時は流れ続けている。

その偶然のいくつかを拾い上げると必然に変わり、うまくいけば奇跡になる。

奇跡の起こっていない作品はつまらないし、まぐれの作品もつまらない。
自分で奇跡をあやつれなければ良い作品は生まれない。

拾った偶然を素早くインスピレーションの宅急便屋さんにわたして未来の自分に送る。

一秒後に届く場合もあれば一年後に届く場合もある。



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インスピレーションの宅急便が届く。

それを引っ越し屋さんに指示を出す感覚で次々に画面に置いていく。


インスピレーションの宅急便屋さんはときどき信じられないものを運んでくる。

でもそれを今日断ると彼は自信を失い、または輝きを失い、明日は運んできてはくれないかもしれない。

だから逆に思い切ってそういう荷物を運んで来た時こそ大絶賛する。

最終的にまとまらなくてもいいから今日しか描けないものを描いた日に悔いは残らない。

そうやって最後の日までスケッチブックの最初の1ページみたいな日を重ねる。

やがて鮮やかな光が画面を埋め尽くす。



荷物を送る。届いた荷物を画面に置く。
現実から絵画の中への引っ越しみたいに。


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「美術的価値というものが私どもには分からないのでそういったものの保証は出来かねます」
現実の郵便局では僕はいつもひどい目にあう。

「だからこうしてとても分かりやすく説明しているのに分かろうとする気持ちがあなたにはありません。そもそもあなたの仕事はクレーム処理ではなく手紙を届けることです。」

郵便局員はしばらく考えているようだった。
僕はその内容がクレーム対応ではなく良い方向へ向っていることを祈る。

「この荷物が相手に届くと相手がきっと喜ぶだろうというワクワク感。だからなんとしても無事に届けたい。まずその気持ちが基本です。頑張って思い出してみてください。」

と僕は応援してみる。