ワークショップ作品「語りたい物語」

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ワークショップ作品「語りたい物語」
2013年 136.0cm×134.5cm 障子紙 アクリル絵の具


高齢者ワークショップ「語りたい物語」
主催 アーツアライブ
場所 特別養護老人ホーム カメリア



高齢者施設の老人の多くにとって必要なものは、語りたくなる新しい話題であり、さらにその話題が自分が必要とされた物語であれば、老人の明日は昨日より輝いたものになる。と僕は考えました。

このワークショップは参加者の力を借りて本気で作品を作り、参加者の力を本気で必要とし、さらにそこで生み出すものが世の中で活躍するほど良い作品になることで、高齢者が昔話ではなく”今の自分の物語を”それぞれの中に生み出すことを目指し、目に見えないそれを作ることを作品の完成としました。

講師  teppei ikehila



2013年6月22日


老人ホームのおじいちゃん、おばあちゃんに助手をお願いして作品を作る。

「全て重要なもので景色は、世界は、成り立っています。
 空気も水も土も花も石も、おじいちゃんもおばあちゃんも、必要のないものは1つも無い。
 そういう絵を、そういう景色をみなさんと描きたいです。」

おじいちゃんと、おばあちゃんたちは不思議そうに僕を眺めていた。

さっきまでグーパーグーパーの手の体操をみんなでしていたので、
それに比べたら少し難しすぎるのかもしれない。
伝わらないか。と僕は思う。

「とにかく隅々まで全力で描いたもので画面を埋め尽くしたい。
 もしそれが出来たら、僕が描かなくても、うまく描けなくても作品は絶対に成功します。
 だからうまくなくていい。一生懸命に出来ないことに挑戦していればいい。
 それは上手な絵より遥かに素晴らしい。」


だめだ。きょとんとされ過ぎている。

「池平さん、私がもう一度説明していいですか?」
アーツアライブの林さんがもう一度説明してくれたおかげでワークショップはなんとか動き始めた。


老人ホームの高齢者に好きなものを本気で描いてもらい、それを切り抜き、僕がコラージュして1つの景色を作っていく。

100歳のおばあちゃんも、昔は画家だったことが今は思い出せないおじいちゃんも、総勢30人以上の老人が信じられないくらいの力を発揮した。


そして僕は今日も重要なリレーでアンカーを任された気分。

いつものようにいつも以上の能力が僕に開花する。

なんと僕ひとりで描く作品よりも良いものが出来てしまった。



さっき自分が絵を描いたことをすでに忘れている老人がいつまでも絵を眺めていた。
「あの部分は先程あなたが描きました。本当に素晴らしいです。ありがとうございました。」
数分後の自分にサプライズが可能な素敵な老人に僕は言う。


昔話ではない今の自分の語りたい物語。

気が付くと僕の中にも生まれていた。



施設の方々も手伝ってくれた方々も関わった全ての方々へ、ありがとうございました。
本当に僕はこの作品に自信を持てています。