ワークショップ壁画 No3

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まるで手が30本になったような夢のような作品制作が実現している。

僕の手が30本に増えた場合以上の力かもしれない。
高齢者たちは、この数日間で美大の存在を揺るがしかねない進化を見せている。
ワークショップに参加して楽しかったとか気持ちが明るくなったとか絵が好きになったとかいうレベルじゃない。
生物の進化、人類の進化を感じる。

僕はただ本気を出してほしいとお願いし、僕も一緒に本気を出しているだけで何も教えてはいない。

壁画は僕を含む誰もの予想を遥かに超える作品に成長し、
この画面に直接手を加える時、ボーリングでストライクが出続けている時のあの緊張感が参加者を襲う。

そのあまりのプレッシャーに今日は見学にさせてほしいと言うおじいちゃんもいた。

僕はその申し出を丁寧に断る。

一日でも自分から逃げた経験を作ると家に帰ってから後悔でひどいことになる。

「逃げなければやれる。」

今日まで見事に全員がそれに打ち勝つことが出来ている。

気が付くともはや僕はワークショップではなく最高のプロフェッショナルなアシスタントとして参加者たちを見ている。

次第におじいちゃん、おばあちゃんたちの雰囲気も変わって来た。

彼らが身にまとっているのは失敗を恐れる緊張感ではない。
最高の場面で自分に打順が回って来たときのあの奮い立つような緊張感。

自分がここでホームランを打ってやる。

と彼らが無言のメーセージを発信してくる。


僕は今、本当にこの人たちを必要としている。


彼らに宿題を依頼し僕は一旦東京に帰る。

久しぶりに東京のアトリエに戻った僕はまるで別人のように進化していることを知る。

「僕の力はまだまだこんなもんじゃない。」

と僕と30人の助手が心の中で言う。


壁画制作3分の2が終わった。





*このプロジェクトは一般社団法人アーツアライブ主催「平成25年度経済産業省 地域ヘルスケア構築推進補助事業」の一環として実施されています。