バラ色の帽子

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渋谷西武百貨店 バラ色の帽子。

バラ色の帽子は僕が生まれるより昔に、団地の主婦たちに帽子の技術を伝え、海外の工場に発注せずに一点一点国内の職人による手作業でこだわりの帽子作りを可能にしているブランドです。
一つ一つの形がどれも美しく、かぶった人をたちまち魅力的な姿にしてしまう力があります。

OFFICE BACTERIAで目指そうとしていたことに遥か昔に辿り着いていることを知って驚いた僕は2012年にバラ色の帽子本社にご挨拶に伺い、直営店パイユドールでのOFFICE BACTERIAのお取り扱いが始まりました。

帽子に絵を描くイベントは2014年の横浜そごう以来2度目となります。



お客さんが買った帽子に即興で絵を描く。

帽子をかぶったその人の「この部分に線が入ってこの部分に色が欲しい。」とイメージしながら。

注文は一回も途切れることなく僕はずっと描き続けた。

(沢山のご来場とご注文ありがとうございました。)

幼稚園の頃、僕が何か描くと僕の前には行列ができて幼稚園の友達みんなのスケッチブックにそれを描かなければならなかった。

たとえばクマを一回描くと同じものを30枚近く描かないといけなかったし、クマを辞めるにはクマを超える必要があった。

あの頃に似ている。


自分のアトリエにいる時ですらこんなに長い時間絵は描かない。

キャンバスと画材を持って森の中を歩き回って何も描けずに帰ってくる日もある。


しかし今日はお客さんが注文したら遅くとも一時間後には何かを完成させなければならない。

いつもお客さんと話しながらさっと花束を作ってみせる父の姿を思い出した。

あの感じでやるしかないな。と僕は思う。


僕の実家の花屋の名前は「花一番」という。

僕が小学校一年の頃、父が突然、一番を名乗った。

その姿勢は画家の僕にも受け継がれている。

一番の人は何事も否定しない。
否定せずにそれ以上のことをやってみせれば良い。
もしそれ以上のことが出来なかったら否定する資格ももともとなかったということだ。
何かを否定したくなった瞬間に、それを超えられるかの試合が始まる。
彼は一番だから否定はしないのだ。

そしてさらに重要なのは、
僕から見て父の実力は別に一番というわけでは全然ないということだ。
一番だから自信を持つことより、一番ではないのに一番自信を持つことの方が遥かに難易度は高い。




自信を持って今に集中すれば悔いのない数分後がやってくる。

とにかく製作がはじまったら自分を信じる力を一瞬も絶やさないことだ。



お客様が帽子に描いている様子を動画に撮ってくれました。
https://www.instagram.com/p/BFEAPd3lTX1/