拾った偶然を素早くインスピレーションの宅配便にわたして未来の自分に送る。
一秒後に届く場合もあれば一年後に届く場合もある。
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毎朝インスピレーションの宅配便が届く。
それを引っ越し屋さんに指示を出す感覚で次々に画面に置いていく。
インスピレーションの宅配便はときどき信じられないものを運んで来る。
でもそれを断ると彼は自信を失い、または輝きを失い、
明日は同じものを運んできてはくれないかもしれない。
だから逆に思い切ってそういう荷物を運んで来た時こそ大絶賛して画面に描き込む。
最終的にまとまらなくてもいいから今日しか描けないものを描いた日に悔いは残らない。
そうやって最後の日までスケッチブックの最初の1ページみたいな日を重ねる。
やがて鮮やかな光が画面を埋め尽くす。
荷物を送る。届いた荷物を画面に置く。
現実から絵画の中への引っ越しみたいに。
statement
水が汚れた今に住むから今日の私は透明な水に感動するのかもしれない。
「2011年の沈黙」シリーズ、子供が外で自由に遊べない子供の日、日本が世界の中心に立って地球外生命体を探索するプロジェクト、ドロシー計画に重ねたこれからの日本。福島県のゼリー専門店ゼリーのイエと大切な水。
無意識に選択した、一見、楽園のように見えるこの景色は、制作時の環境の裏返しであるのかもしれません。
私の絵画は窓であり、そこから見える景色です。
17世紀のオランダの画家が静物画の中に同時に咲かない花々をアレンジメントしたように、私は景色をキャンバスの中にアレンジメントしていきます。
子どもがその時欲しいものをおもちゃ箱の中に収集するように、その瞬間に 制作意欲が最も湧くもの、最も塗りたい色 だけを日々キャンバスの中に加えていくという方法で描きます。
たとえそれが制作中の作品には合わなかったり、構図がおかしくなると感じてもそうします。
重要なのは ”何を選択するか” であり ”どれだけ純粋にそれを選択できるか” です。
その選択の純度だけでの作品製作を可能にする為、ワークショップ や OFFICE BACTERIA は、触れたものは全て作品に出来る日々の修行として行っています。
伝えたいことはなく、私の作品たちは、この制作法を追求することで、言葉で記録出来ないものを言葉に変換せずに、そのままの状態で保管することに成功したものたちです。