「居場所を知ったものたち 2 (制作途中)」
運動会のかけっこもオリンピックも、走っている時は同じくらい本気だと思う。
ただそこに立つまでの努力や重圧、そこにかける人生の重みは違う。
僕が加わると、かけっこはオリンピックに変わる。
ワークショップで僕は参加者全員の絵を、僕自身が描きたかった絵だと本気で思い込む。
そうすることで全員の絵を自分の作品の中に必要としていく。
その為、その先もずっとそれは僕の描きたいものであり続ける。
小児病棟のワークショップで、あの子が描いてくれた大きなジンベイザメだ。
その閃きは突風のようにアトリエに吹き込んだ。
それは一晩寝かせて考える余裕も無く、今すぐ描きたいという気持ちを一秒も抑えきれない本物のものだった。
僕が求めているのはこのレベルのインスピレーションだ。
あの子の力を僕は今も必要としている。
たった一人のアトリエで僕はそのあたたかい感情を握りしめる。
やっとここまで来た。