新聞屋とオレンジジュース

絵を描いていると、新聞屋がやってきた。
断りたくないので頼まないで下さい。
新聞屋が帰って行く。
かわいそうだけどしょうがない。
アトリエに戻る途中で買ったばかりのオレンジジュースをたっぷり床にこぼしてしまった。
本当にたくさんの量だったので、床に出来たオレンジジュースの水たまりを記念写真に撮るのも忘れて慌てて拭く。
本当にたくさんの量だったからこそ、記録しなきゃいけなかったことなのにすっかり拭き取ってしまった。

気を取り直して昨日もらったビーバーについての資料を読む。
小学校の時に差し歯の大きい前歯を入れられて以来そんなにビーバーは好きじゃなかったけど本を読むうちに水のそばがとても好きだったり、大きな木を切り倒して芸術的な巣を建設するあたりからどんどん好きになっていく。
ビーバーの良いところは僕の良いところでもあり、ビーバーの悪いところは僕の悪いところでもあった。

ベランダに書斎を作ることにした。
オレンジジュースをこぼしても大丈夫。
喜んで僕はそれを記録することが出来る。
近くの病院にいらなくなった廃材をもらいに行く。
ずっと前に料金を払わずに逃げたのに、優しく譲ってくれた。
さらに黒の革張りのソファもくれると言ったけど、赤いソファがあるので断った。
今度は聴診器をあてるだけでもちゃんとお金を払おうと思う。

書斎が完成して、後は万年筆を作るだけ。
万年筆の作り方は書斎館で先日教えてもらったばかり。
ナポレオンのような鳥の羽の万年筆を作ろうと思う。

それでもまだオレンジジュースのことが悔やまれるので、
こうして日記に残すことにした。

これでまた絵の制作に戻ることが出来る。
新聞屋のおかげでだいぶ絵が中断された。
でも書斎が出来たりしたからそんなに悪い事じゃない。