描かずに描く

僕は一人の画家としてここにいる。
僕は英語を5分間くらいしかまだ話せないし、20分間くらいしか聞く事が出来ない。
それ以上やると微熱が出る。その上、外人になりたがる日本人が嫌いなのでひとりぼっちだった。
でもそんなことで無駄に自信を失わない。
だけどスイス大使館の中で僕は日本にいるのに日本に帰りたくなる。

海外へ行くべきものは僕自身ではなく、僕の描いた絵の方が先でなくてはならない。
それは1年前帰国したときからはっきりしている。
分かっているけどオフサイドぎりぎりのラインで僕は攻める。

今日で7月が14日目。
既にいろんな事が起こったし、いろんな事を起こす事が出来る。
その結果またいろんな事が起こるだろうし、それを望まないのであれば何も起こさなければいい。
時間は過ぎ去って行くし、躊躇はしない。

今、唯一の確信の持てる鍵があるとしたら「翼の貯蔵庫」を完成させる事。
それを描かずに描くこと。僕にはそれが出来る。
確固たる自信を持ってやれる事から形に変えて行こう。
完成すれば、それは正解も不正解もなくただ富士山のようにそこにあるはずだから。
それが圧倒的にただそこにあるという事実が僕をさらに強くするはずだから。

今月のアトリエ開放は29日(土)です。