信号機

大きな水たまりの水面を勢い良く自転車で駆け抜ける。
数人の人が信号待ちをしている。
僕はスピードを緩める事無く赤信号も駆け抜ける。
「その信号、1年先まで赤のままですよ」
教えてあげようと振り返ると、みんなは避難の目で僕を見る。
僕はまた前を向いてたまらなく孤独を感じる。
きっとみんな信号待ちの間に友達になったり恋に落ちたりするんだろうなと思う。

ある日、青信号を渡っていると。
横から勢いよく亜矢子がぶつかって来た。
痛みよりも、怒りよりも、出会えた嬉しさが僕を包む。
「青だからって油断しないでよ」と亜矢子は言う。

この子は赤信号でも僕について来てくれる。と思った。
でもそれは違った。
「全ての赤信号を青に変えてみせてよ」と亜矢子は言う。

僕達の進む場所全てを青に染めよう。