アルパカについて

例えば僕はアルパカを作る。
絵を描き始める前に僕はいろんなものを作る。

あまった大量の毛糸を針金に巻き付けて今日はアルパカを作る。

閃きが閃きの連鎖反応を起こして、僕が形にし終える前にそれより先の作品が頭の中で形になる。

やがてそれらは一滴の雫になる。

閃きとの追い駆けっこをやめて、アルパカのオブジェを作りながらそれを待つ。

最近少し人前に出過ぎた。
人前に出過ぎた僕は少し喋り過ぎたし、口内炎が出来た。

自転車を水色から黒に塗り替えて毛皮を巻いて冬バージョンにする。
毛皮はやり過ぎたうえに、ボンドで付けてしまった。
閃きをそく形に変えるとこういう失敗が起こる。

アルパカみたいになった自転車に乗って画材を買いに行く。
キャンバスの縦と横の長さの比率は誰が決めたんだろうと思う。
知らない誰かに決められたくないので僕は正方形のを買う。
黄金比以上に黄金比でありたい。
アルパカの変速機能を楽しみながら家に帰る。

アルパカ2匹目を作る。

2匹目が出来ると群れが見たくなった。
4匹目を作ると、アルパカのシャンデリアが見たくなった。

6匹目を作り終えたら、そろそろ絵を描く頃かもしれない。