両極シンメトリー

池は桜の花びらにすっかり被われて、僕は水の上を歩く。
Dr.フィッシュに突つかれて僕はまたカメラを池に落とす為
しばらく作品が載せられない。

無いホイップクリームを無理に搾っても記録の更新は狙えない為
しばらく作品が載せられない。
僕は閃きのホイップクリームを求めてまた歩く。
切れた靭帯が再生するのを待つようにゆっくりと。

いくつもの小さなカプセルが僕の前を過ぎる。
ピンク色のカプセルに素早く乗り込むと、外から鍵がかけられた。
人の散りばめた光の粒の遥か上空、ピンクのカプセルは風に揺れる。
観覧車は時計のように回る。
でも乗る人によって時間は伸びたり縮んだりする。

「今一番の悩みは何?」80才の誕生日を迎えた悩みの無い人に悩み多き僕は聞く。
「如何に消えるかだね。」悩みの無い人はさらりと言ってのける。
「この絵は孤独かね?」僕に尋ねる。
それも含むと僕は答える。

悩む人、悩みの無い人。両極のシンメトリー。
僕はホイップクリームの泡にそれを黒と白のチェスの駒に喩えて加えた。

3日間の楽しいチェスは今も僕の中に色濃く残る。