経験の木

僕は振り返る。
落とし続ける現在が失われた時間としてサハラ砂漠のように刻一刻と広がり続ける。

経験の木を植える。

「少し待ってくれれば良い実を付けるよ。」
経験の木は言う。

僕はいつもそこで少し迷う。
良い実がなるのなら是非それが欲しいと思う。
でも僕は次の経験の木を植え続けなければならない。
空白の砂漠は刻一刻と広がり続けるわけだからね。

「僕は君を待たないよ。」
僕は言う。

振り返れる位置に進んだ時にだけ経験は経験になる。