雀の落下と雀の離陸

前々から僕のまわりには不自然に雀が多いと思う。
ついに僕の家に2世帯の雀が引っ越してきた。計6羽。

僕の思い出の要所要所はほとんど雀とともにある。
NYでも落ちてきた雀を教会に届けたし、
パリでは雀が肩にとまるほど仲良くなった。
雀と箱根に一泊したこともあるし、
沢山の雀が落ちてきた日には手品師のようにアトリエから雀が飛び立った。

今年ももうすぐ雀の降るシーズンがやってくる。
この時期まだ飛べないのにもう飛べると思い込むヒナが続出する。
特に、僕が巣のあたりを通過した時、
つられてヒナが落ちる。

「申し訳ないけれど君はまだ飛ぶには早すぎる。」僕は言う。
「でも待てないし、待たないよ。」いつかの僕の台詞を雀が言う。
「実はその方がお勧めだよ。良い経験になる。」僕は言う。

今日はヒナが身を乗り出し過ぎている。
僕は昨日、古い自信を全て捨てて、今日は新しいのに取り替えたから
雀のヒナもさらにつられやすい。

そして僕はもうすぐハングライダーに挑戦しなければならないことを思い出す。