下水道の冒険

調子が良いけど調子に乗ってはダメなので久しぶりにプールへ潜る。

最近の文章の切れ味の悪さは冒険家のDNAが薄まっていたからだと僕は気付く。

そこで僕は先日の対談のフリーペーパーとイカのカラーコピーの部分を国会へ送る。
一見無意味に思える冒険が僕には必要だったのでこれで良い。ちゃんと意味はある。

生物の進化の過程を確かめるように泳いだ後は散歩もする。
そのとき何かを感じたのだけど地下への入り口を見付けた為、全て忘れてしまった。

地下25mへひとり階段を下りて行く。

映画「デリカテッセン」を見た後なのでその後遺症が僕には少し残っている。

水琴窟の音が鳴っている。
しばらく僕は立ち止まる。いつかの鍾乳洞を思い出す。


轟音が闇を支配する大迫力の下水道に僕はたどり着く。

暗闇で見えないけれど少し先に大きな滝があるらしい。
だけど、とてもそれ以上踏み込む勇気は持てない。
たとえ長靴とヘッドライトがあったとしても無理だと思う。
勇気の限界。

「欲しかったのはこれだった。」と僕は思う。

小部屋に顕微鏡を覗く人がいた。
50cmの距離まで近づいてみたけど何も言わないし挨拶もしない。
なので50cmの距離にいるけど僕も何も言わないし挨拶もしない。
話したいけど話しだすと長くなることを僕は直感で理解した。
たぶん全部を聞くか、何も聞かないかのどちらかだと思う。

でもその時点で描きたい気持ちは限界に達していたので何も言わずに急いで帰る。