蝶々との生活が終わってちょうど一年がたつ。
「君の分身たちは今日もどこかで活躍しているよ。」
線香に火をつける。
せっかくなので20本くらいまとめて燃やす。
やっぱり死は悲しい。
あの時、僕はずっと室内で過ごした蝶チョに、一度空の上を見せてあげたかった。
僕たちは空港のあらゆる検問をかいくぐる。
「君は今、誰よりも遠く世界を見渡すことが出来る。」
飛行機の機内で僕は言う。
「君はこれから、誰よりも遠く世界を見渡さなければならない。」
空を見ながら蝶々が僕に言う。
旅を終えると蝶チョは死んだ。
寿命よりだいぶ長く生きた蝶チョの羽は至る所が破れていた。
セブンイレブンのコピー機にそっと挟む。
蝶チョを乗せた小さな船はいつまでも沈まずに視界の彼方へ消えた。
最後に僕はその記録をfilmにまとめた。
http://jp.youtube.com/watch?v=gLAL_Hvi_3A