昨夜の会議と3つの良い前兆。
[亜矢子の報告]
「カエルのミイラは欲しい?」
「それは何か比喩的な意味合いで?」
「私は喩えない。」
カエルのミイラはある日とつぜん死が訪れたままの姿で、亜矢子の前に現れた。
誰にも見つからずカエルはたった一人ミイラになった。
鳥にも虫にも食べられず、人にも車にも跳ねられず。ただ死んだ。
「持って帰る?とてもきれいだったよ。」
亜矢子がそのカエルのポーズをとりながら僕に言う。
「是非持って帰ってきて。」
僕はお願いする。
[僕の報告]
「シェル美術賞に落選したよ。まずこれを見て。
http://www.showa-shell.co.jp/society/philanthropy/art/gallery2007.html
どう思う?」
僕は言う。
「歴史的な画家は、入賞によっての波紋を生まず、落選によっての波紋を生まなければならない。」
亜矢子が言う。
「そのとおり。僕はそれが出来る。」
僕も言う。
予定通り準備は整った。
[亜矢子の報告]
「もぐらの穴を見付けたよ。掘る?」
「それは何かの喩えかな?」
「私は喩えない。」
しかもしっぽっみたいな物を見た気がするらしい。
もしそうだとすると穴は地下30m深くまでつながっている。
掘って会える距離じゃない。
「掘らないで明日から穴の入り口に野菜を置いてみよう。
それで、なくなるかどうかを報告して欲しい。
もしなくなるようなら もぐら はいるよ。いつか会える。」
僕は指示を出す。
もぐらは穴を掘り、かえるがミイラになり、画家が絵を描く。
重要な事物は世界の外で進行される。
「喩えではない。」
亜矢子が言う。