部屋と予約

僕は部屋を予約する。
予約した部屋はキャンセル出来ない。

部屋の鍵を音楽家から受け取る。
夜の闇に信号の青がにじむ。
寝静まった長い廊下を歩く。
鍵を開けて部屋に足を踏み入れる。

実は僕は僕の成長の時を事前に予約しておいた。
予約された成長の時はキャンセル出来ない。

部屋はまだ経験した事の無い深さの小部屋に幾つも分かれていて
全て潜るのには結構時間がかかると思う。
ひとつひとつ丁寧に潜っていると部屋の電話がなったので受話器を取る。

「ご予約された成長のお時間です。」